写真・図版
ロンドンで上演された「千と千尋の神隠し」の舞台から=Johan Persson氏撮影

 「演劇の実験室」を掲げた「築地小劇場」の誕生から100年。今年も「劇場」という場の可能性を探る、様々な試みがあった。

 新劇では、節目を迎えた劇団が特色ある舞台を発表。創立80周年の劇団俳優座はイプセン作「野がも」(眞鍋卓嗣演出)で近代翻訳劇に現代社会をえぐる視点を持ち込んだ。「創作劇の上演」を掲げる創立70周年の劇団青年座は、竹田モモコら気鋭の新作を上演した。

「千と千尋の神隠し」ロンドン公演

 日本のアニメや漫画が原作の舞台が、英語圏の市場で存在感を示した年でもあった。

 宮崎駿監督の映画が原作の「千と千尋の神隠し」(ジョン・ケアード演出)はロンドンで公演。日本語作品としては異例の約4カ月間の長期公演で、東宝によると観客数は約30万人に達した。「千と千尋」のプロデューサーがあるシンポジウムで、「物語」の語り手の当事者性を重視する潮流が成功を後押ししたとの見方を語ったのは興味深い。

演劇の担当記者が2024年に見た舞台を振り返ります。

 コロナ禍を乗り越え、国内で…

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